英語ディベートの歴史
戦後、ディベートが国内大学に在籍する外国人講師の協力により日本に導入されてから、ディベートコミュニティーはその規模を広げてきました。また、1983年にNAFAが、1986年にJDA(日本ディベート協会)が設立されてから、両協会の連携や施策により、大学生英語ディベートコミュニティーは大きな発展を遂げました。
具体的には、対象となる大学数と、所属するメンバー数の拡大です。2020年度には全国規模の大会が11開かれ、また各地区限定のものを併せると37の大会が日本全国で開催されまれました。その内NAFAが主催するものは11(地区予選含む)であり、また2008年度には九州地区でのディベーター拡大を受け、福岡県北九州市にて新大会(NAFAによる全国規模の大会)を開催いたしました。
こうしたディベートコミュニティーの繁栄により、学生ディベーターは卒業後多くの分野での活躍をしています。具体的には国家公務員・国連団体・NGOなどの公機関の他、外資系金融企業やコンサルティング企業などの英語政策立案能力を活かした企業での活躍や、ユニークな例ではアナウンサー、プロファシリテイター、大学教員なども多く見られます。彼らは一様にディベートコミュニティーへの感謝の気持ちを持っており、他の大学文系サークル競技に比べ、格段に卒業後もジャッジ(新審査員)としてディベート会場に足を運ぶ割合が多くなっています。
ディベートには、大別して以下の3種類があります。
Academic Debate
Academic Debate(NAFA推奨スタイル)は、アメリカの司法裁判制度をモデルにしたものです。ディベーターはそれぞれ検察と弁護士という立場をとり、審判員は裁判官として試合を評価することとなります。他スタイルのディベートに比べ、論理により重きが置かれ、実際の裁判同様、証拠資料の提出が義務付けられます。また、シーズン(半年間)を通して論題が固定されることにより、一つのトピックをより深く掘り下げた知見を得ることができます。(ここ数年間では、安全保障、刑罰、金融、環境などの政策が取り上げられました)もともとは、アメリカの大学対抗ディベート大会(National Debate Tournament)において使われているスタイルであり、現在は日本の大学ESSディベートの主流となっています。このスタイルの大会には文部科学省、読売新聞、各種英語系企業などが協賛しており、大会参加対象となるディベーターの数の拡大が全国規模で今後見込まれております。
Parliamentary Debate
Parliamentary Debateは、イギリスの議会制度をモデルとしたものです。ディベーターはそれぞれ与党と野党の議員という立場をとり、審判員は投票権を持つ国民として試合を評価します。論理能力の他に、いかに有権者の心を動かすかといった表現力も評価されます。また、毎試合トピックが変わることにより、より広い分野に関する知識を蓄えることができます。
Debate甲子園
全国教室ディベート連盟主催のディベート甲子園(中高生対象)で行われているディベートのスタイルであり、日本語ディベートの大会はこれか、これに準じたルールを採用しています。英語ディベートに比べ一試合の時間が短く、学校教育などにも多く取り入れられています。最近ではこのスタイルの出身者が大学にて英語ディベートを始める例が多く、活躍が注目されています。